自分が生まれ育った場所を棄て、はじかれたように外の世界へ向かう。そういう衝動が日本列島のあちらこちらで疼きはじめたのは従来と異なるライフスタイルの誕生、つまり都市における生活がはじまり出したからである。都市のなかでもとりわけ、東京は中央として他と一線を画す。中央の観念が生まれるとき、それ以外の地域はおのずと下位にランクされた。おきまりの田園風景でなくとも、地方は田舎として位置づけられてしまう。(猪瀬直樹『唱歌誕生 ふるさとを創った男』中央文庫、1994) おはようございます。20年近く前、バックパックを背負ってはじかれたようにアジアの国々をほっつき歩いていたときに、インドのカルカッタにあるゲス…