それほど湿気を感じない京都らしからぬ夏の夜に、祇園祭を見に行ってきた。 聞こえてくる音色が不思議な魅力を放っている。 周囲は人が多く騒がしいはずなのに、不思議と心が静かになり雑念がなくなっていく。 ああ、京都に住んで良かったと心の底から私は思う。 この独特な世界観の中に、身に付けたい美意識のヒントがたくさん眠っているからだ。 自分の中の美意識というものは、自ら積極的に言葉で表すとなんだか邪道な気がする。 心の中に秘め、自分の中で熟成させて自然に香るようになって気付かれるくらいがちょうどよい気がするし、粋な気がしてしまう。 だから、表面的な部分は言葉で伝えることがあったとしても、奥底の部分は自分…