愛というのは、極めて扱い難い観念である。 その原因は、主にハリウッドとディズニーの所為であると、私は思っている。そこから派生する形で巷に広がった様々なフィクションも、残念ながらその傾向に拍車をかけたと言わざるを得ない。 そうは言っても、私はハリウッドやディズニーに見られるような、所謂一大スペクタクルとしての愛を否定したい訳ではない。矢張り誰もが一度は大恋愛には憧れるものである。ただ世の中にはそうした愛しかない訳ではないし、その事実を知ることには一定の価値があると思う。 愛の本質というものに思いを馳せるとき、私が連想するのは小熊秀雄の詩である(ちなみに私は長らくこの詩の作者を小林秀雄と勘違いして…