『太陽をかこう』 ブルーノ・ムナーリ 作 須賀敦子 訳 至光社 1984刊 たしか4歳だったか、保育園の窓ガラス越しに太陽をじっと瞬きもせずに見つめたことがあった。それ以来、まっしろく輝く真円の太陽が記憶の空に張り付いたままだ。目によくないとはわかりつつも、最近ふたたび太陽を直視してみた。あの時と同じ太陽があった。遊戯室の板ガラスを通して見つめた太陽とまったく同じだった。なぜかほっとした。記憶が現実だったことに安心したのかもしれない。ときどき現実の記憶なのか、夢や空想を記憶したことなのか、わからなくなってしまうこともある。ブルーノ・ムナーリ『太陽をかこう』という絵本がある。ムナーリはイタリア人…