親方は激する。怒りの原因は無秩序で無軌道。理解不能。モラハラ、パワハラ、初体験。怒られてわかる、面従腹背のきもち。やらないけどね、信念に反するから。けど、楽なのだろうなぁと、少しよろめく。 「汚いからオメェ、出ていけ」 「バカか、オメェ」 「親方って呼ぶな、お前なんかに呼ばれたくねぇ」 「髪を隠せ、バカ」(これは、ぼくの落ち度) 「邪魔だ、どけ」 こんぐらいかなぁ、言われたの。 こっちの落ち度は、彼の怒気に合わせずに、軽やかに声をかけ続けたことかな。彼が、その軽さに苛立つのを知りながら、つづからね。復讐的な動機から発するのではなく、なるたけ、彼の心が軽くなるようにと、願いながら声をかけ続けたの…