訓読 >>> 636わが衣(ころも)形見に奉(まつ)る敷栲(しきたへ)の枕を離(さ)けず巻きてさ寝ませ 637わが背子(せこ)が形見の衣(ころも)妻問(つまどひ)にわが身は離(さ)けじ言(こと)問はずとも 要旨 >>> 〈636〉私をしのぶための衣を差し上げよう。あなたの寝床の枕元に離さず身につけておやすみなさい。 〈637〉あなたをしのぶよすがの衣は、私を求められたあなただと思って、肌身離さずおきましょう。たとえ物言わぬ着物であっても。 鑑賞 >>> 前記事からの続きで、636は湯原王の歌。王の妻を羨む娘子に自分の衣を与えてなだめた歌だとされますが、634・635の別解釈に従うと。王の妻の存…