訓読 >>> 670月読(つくよみ)の光に来ませあしひきの山きへなりて遠からなくに 671月読(つくよみ)の光は清く照らせれど惑(まと)へる心思ひあへなくに 要旨 >>> 〈670〉この月の光を頼りにいらして下さい。山が邪魔をして遠いというわけでもないのに。 〈671〉この月の光は清く照らしていますが、思い乱れております心には、思いも寄らないことです。 鑑賞 >>> 670は湯原王(ゆはらのおほきみ)の歌、671はそれに和した作者未詳歌。631~647に娘子と交わした贈答歌がありますが、ここもその続きで、671の作者は同じ娘子かもしれません。670の「月読」は、月の異名。神代紀の一書に「月弓尊…