♦ 1963年は、「核兵器不拡散条約」(NPT)が国際連合で採択された年であるが(発効したのは1970年)、その年に発表した件の論考の中で高橋は、原爆はアメリカが保有する量だけで地球上の文明を十数回破滅させることができ、いずれ完成されるソビエト側における百メガトン級の水爆も同様の破壊力を有するということに言及しつつ、核兵器の存在を前提する「平和共存論」というものが矛盾したものであることを指摘している。それはどのような矛盾なのか。 ♦ 或るごりごりの合理主義者は常々亡霊の存在を否定していたのであるが、執念深くも死んでからも、亡霊など存在しないことを証明するために、亡霊の存在を信じる蒙昧な人々の会…