文学部の集中講義を受けに行ったら、チェーホフの研究をしている先生の講義だった。 チェーホフの中の日本 チェーホフは医者だったので、クロード・ベルナールの「実験医学序説」を読んでいた、そうだ。 チェーホフは、「退屈な話」の中で、老医師に次のように語らせている。 「不幸にしてわたしは哲学者でもなく神学者でもない。わたしは自分が半年以上は生きないことをきわめてよく知っている。今やわたしの心を何よりもまず惹く問題は、黄泉の闇のことやわが墓場の夢を訪れるであろう幽霊のことであるべきだと思われるかも知れない。しかしこうした問題の重大さを理性は重々認めているのに、なぜかわたしの魂はそれを知りたがらないのであ…