「もし、この侍を助けたら、あとで私たちが敵の侍にどんな仕返しをされるかわからない」と思い、「食べるようなものは、何もありゃせん。」と、どなり返しました。すると、侍は刀をぬいて家の中へ入ろうとしたので、「出ていけっ。おーい、ぬすっとだあ。ぬすっとだあ。」と、大声でまわりの家々にふれ回りました。時は、ちょうど五月の節句の前、のぼりを立てるために用意してあった竹を持って、近くの人たちが走り出てきました。そうして、侍を追って行き、竹でたたいたり、突き刺したりして、とうとう殺してしまいました。 それからというものは、この宮前あたりでは、五月の節句にのぼりを立てると、立てた家の子どもが、次々に死んでしまう…