記者会見の最前列で筆者が目にしたのは、サングラスでも隠し切れないほどの、左目下の大きなアザと、右腕に貼られた痛々しいバンドエイドだった。 1972年に小説「手鎖心中」で直木賞を受賞、小説以外にも「こまつ座」の座付き劇作家として数々の名作を世に送り出してきた井上ひさし氏(2010年、75歳で死去)。 その妻で「こまつ座」主催者だった好子氏(現・西舘)の泥沼不倫スキャンダルが連日ワイドショーを騒がせたのは、今から三十数年前、1980年代後半のことである。 2人は知り合って1週間後に電撃結婚。その後、1958年に「こまつ座」を立ち上げて以降、好子氏は妻としてだけでなく、名マネージャーとして25年間、…