この8月に紀伊國屋サザンシアターでも上演あつた「こまつ座」の〈化粧二題〉水戸芸術館公演を見る。井上ひさしの名作で演出は鵜山仁。アタシは何うも役者の顔と名前が一致してゐなくて内野聖陽といふ役者が朝何となく眺めてゐる〈おかえりモネ〉のお父さんと結びついてをらず。突然、モネの父親が座長役者役で舞台に現れ驚いた。舞台は有森也実扮する五月座の女座長の楽屋での化粧から始まつたが、この一人芝居の井上ひさしのセリフまわしも巧妙さが面白く、この役者に役が憑依してくる態が実に面白い。それに比べ市川座の座長の方は内野聖陽も芝居は上手いが一人芝居なのに座長を訪ねてくる彼が育つた孤児院の神父様と一座の若手役者との三人芝…