🌸不思議な 夕顔の花の女君【源氏物語 37 第4帖 夕顔〈ゆうがお〉3】 では その女房をしているという女たちなのであろうと源氏は解釈して、 いい気になって、物馴《ものな》れた戯れをしかけたものだと思い、 下の品であろうが、 自分を光源氏と見て詠んだ歌をよこされたのに対して、 何か言わねばならぬという気がした。 というのは女性にはほだされやすい性格だからである。 懐紙《ふところがみ》に、 別人のような字体で書いた。 『寄りてこそ それかとも 見め黄昏《たそが》れに ほのぼの見つる 花の夕顔』 花を折りに行った随身に持たせてやった。 夕顔の花の家の人は源氏を知らなかったが、 隣の家の主人筋らしい…