【源氏物語 25 第2帖 箒木14】眠れぬ源氏は 紀伊守の継母の寝室に入っていく。優しく声をかけるが、女君は当惑し 人違いだと言う 「あなたが中将を呼んでいらっしゃったから、 私の思いが通じたのだと思って」 と源氏の宰相中将《さいしょうのちゅうじょう》は言いかけたが、 女は恐ろしがって、 夢に襲われているようなふうである。 「や」と言うつもりがあるが、 顔に夜着がさわって声にはならなかった。 「出来心のようにあなたは思うでしょう。 もっともだけれど、 私はそうじゃないのですよ。 ずっと前からあなたを思っていたのです。 それを聞いていただきたいのでこんな機会を待っていたのです。 だからすべて皆|…