うき世をば 今ぞ離るる 留とどまらん 名をばただすの 神に任せて 源氏は 加茂の社を遥拝し神にお暇乞いをした🌿 〜辛い世の中を今離れて行きます、 後に残る 噂の是非は、 糺の神にお委ねします。 やっと月が出たので、 三条の宮を源氏は出て御陵へ行こうとした。 供はただ五、六人つれただけである。 下の侍も親しい者ばかりにして馬で行った。 今さらなことではあるが 以前の源氏の外出に比べてなんという寂しい一行であろう。 家従たちも皆悲しんでいたが、 その中に昔の斎院の御禊みそぎの日に 大将の仮の随身になって 従って出た蔵人くろうどを兼ねた右近衛将曹うこんえしょうそうは、 当然今年は上がるはずの位階も進…