つれない空蝉 小君と添い寝する源氏【源氏物語29 第2帖 箒木18 完】小君の活躍で紀伊守の屋敷に忍び込むも、女君は心が揺れながらも受け入れない。 いつものように酔った従者たちはよく眠っていたが、 源氏一人はあさましくて寝入れない。 普通の女と変わった意志の強さの ますます明確になってくる相手が恨めしくて、 もうどうでもよいとちょっとの間は思うが すぐにまた恋しさがかえってくる。 「どうだろう、隠れている場所へ私をつれて行ってくれないか」 「なかなか開《あ》きそうにもなく戸じまりがされていますし、 女房もたくさんおります。 そんな所へ。もったいないことだと思います」 と小君が言った。 源氏が気…