『対抗言論 3』(法政大学出版局、2023) 「反ヘイトのための交差路」と副題された意欲的な論集を送っていただいた。446ページの大冊だ。 四本の特集に分類され、論説や研究報告や対談企画が並ぶ。「1、文学/批評に何ができるか」「2、暴力・宗教・革命をめぐって」「3、男性支配の重力に抗う」「4、フェミニズムと社会批評のいま」。なるほど、同人雑誌四冊分と考えれば、このヴォリュームももっともか。刊行のしかたが、私の知る時代とは変ってきているのだな。 いずれも私ごときが感想を抱けるような特集ではない。そこは考えても無駄と知ってる分野もある。かつて自分流に考えてはみたが、力不足で埒が明かなかった分野もあ…