文春文庫 1970年代 表題作「父の酒」は、戦争に行った父の 酒の呑み方に関する話だ。この他の 作品は、随筆と云えるものだろうが、この 作品だけ趣が異なる。小説とも云えるし、 そうじゃないとも云える。二十枚程度のこの 作品は魅力にあふれ、安岡文學の真骨頂と 云えるだろう。ラストにかけて、病気文學 とも云えるメニュエル氏病の苦労を描いた 作品。そして、最後に、「多摩川べりの散歩」 によって、この本全体が、一種の爽やかさを もって終えられる。構成の点から云っても とても優れているだろう。どれも印象深かった が、イマドキ、安岡文學に耽溺する男がいる と云う事も、ひとつ、興味深い事実と云え るのではな…