リョウとサキは、結婚して3年になる夫婦だった。 誰もが羨むような理想のカップルと言われた二人の間に、 いつの間にか溝ができていた。 リョウはIT企業のプロジェクトリーダーとして多忙を極め、 サキもアパレル業界で管理職を務め、 日々神経をすり減らしていた。 共に働くことは好きだったが、 その忙しさが、二人の時間を蝕んでいった。 朝はすれ違い、夜は疲れて口数も少なくなる。 週末も、どちらかが仕事を持ち帰ったり、友人の誘いを優先したりと、 二人で過ごす時間はめっきり減っていた。 会話も、事務的な連絡事項ばかりになり、 昔のような他愛もないおしゃべりはほとんどなかった。 ある日、サキがリョウに 「今年…