静寂に包まれた薄暗い部屋。 少女はベッドに横たわり、窓の外を眺めていた。 病魔との長い戦いは、彼女の顔から生気を奪い、 瞳の輝きを消していた。 コンコン。 そこに、一人の青年が現れた。 彼はギターを手に、彼女の隣に座ると、 優しく微笑んだ。 そして、静かに歌い始めた。 「翼をください…空を飛びたい…」 「この広い世界を…見てみたい…」 歌声は柔らかく、温かい。 少女の心を包み込むように、部屋に響き渡る。 少女は目を閉じた。 歌声に導かれ、彼女の心は病室を飛び出し、 青空を駆け抜けていく。 どこまでも続く草原を駆け巡り、 色とりどりの花畑を飛び越える。 歌い終えた青年は、少女の顔を見つめた。 そ…