子うさぎとの散歩はとにかく時間がかかる。あっちへ行きこっちへ行き、立ち止まったかと思えば急に駆け出したりと落ち着きがない。かと思えば建物と建物の間にちょっと顔を出しているクレーン車や、雲の陰に隠れている昼の月を見つけたりして、こちらを驚かせることもある。 子うさぎとの散歩は、発見と驚きに満ちている。 ある時、子うさぎがじっと何かを見つめていた。目線の先を追いかけると、どうやら生け垣の椿を見ているらしい。 「花が咲いているね。椿の花だね」 と教えると、満足したように歩き出す。すると今度は遠くを指さして「あれはなに」と言う。 川沿いに一本だけ木が立っている。枝垂れた枝にショッキングピンクを薄めたよ…