「小さな黒い箱」(The Little Black Box)翻訳:浅倉久志 解説にある通り『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の原型となった短編*1で、ディック諸短編の中でも特に重要な作品。ディックが人間性について「感情移入能力」を重視したのは『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』や『流れよわが涙、と警官は言った』小説以外では「人間とアンドロイドと機械」などでも明らかだけど、共感ボックスという名が示す通りこの短編には「ただただ苦痛を共有する」だけの道具が登場する。マーサー教について、作中では禅と関係するとか言われているけど、解説にある通りキリスト教がモチーフだろう。共感ボックスは解説にある通…