その色の草とも見えず 枯れにしをいかに言ひてか けふはかくべき 小馬命婦 (後拾遺和歌集 巻第一 春上 908) 【意訳】あなたが持ってきた葵の葉は、あまりに枯れしなびて葵だと分かりませんでした。今日は何をしに来られたのですか?枯葉しか持って来なかった言い訳ですか? 小馬命婦が仕えた藤原彰子(左)。『紫式部日記絵巻』より 平安時代の才女を二人挙げるとすれば、清少納言と紫式部を挙げる人が多いのではないだろうか。 もちろん、王朝文学全盛の時代であるので、好みや選考の視点によって候補となる人物は少なくないとも考えられる。しかし、やはり、現代まで伝えられている「枕草子」と「源氏物語」の著名度は圧倒的と…