劇団。安田雅弘主宰。
「四畳半」と「山の手メソッド」を駆使して、独自の演劇の創造を目指す。
「四畳半」とは山の手事情社独自の<型>である。たとえば、「俳優は重心をずらして立つ」「イメージ上のせまい通路を動く」「せりふは舞台上の誰かに語り、その際は語る人も受ける人も止まる」「それ以外の人はスローモーションで動く」など。このような<型>は、西洋リアリズム演劇にはないものであり、むしろ不自然な身体を舞台化することで深みを演出する日本の伝統演劇を踏襲するものであり、ク・ナウカなどの演劇とも通じるところがある。
また、「山の手メソッド」とは山の手独自の研修システムである。「発想法および観察術の開発」「身体感覚および発声法の鍛練」が大きな柱。現在の山の手事情社の構成メンバーのなかには、研修生として山の手に入り、その後も残ったというメンバーも少なくない。また、ワークショップや地域演劇など(たとえば「さぬきシェークスピア」がそのひとつである)を通して、演劇の成熟にも責任を持って力を入れている。