一本の桜の樹の下で 夕暮れの光迫町北方に江戸時代の安永風土記(1777)にも載っている「山王の桜」という桜がある。安永期でも巨木だったのだから風土記にも載ったわけで,そこから数えても245年も経っている。ざっと800年は経っているこの辺でも一際古い桜である。朽ちて可哀想な姿になっても今年もかわいい花を咲かせてくれた。さてその「山王の桜」に苔むしたもう文も読めないほどの三基の山王桜碑が建っており,その一基が大正二年仙台岡濯撰文とある。これらの碑には「北条時頼」がこの桜を観にきたと書かれている。北条時頼の廻国伝説である。林の静けささて時頼が東北に来たことは確かな証拠はないが(なにせ隠密の旅なのだか…