長編小説 遥かな山並み 二十四 川嶋政仙 著 ※紙の本は在庫少数のため販売しておりません。 ※強く生き抜くヒロイン、ゆいの人生がこの本に書かれています。 遥かな山並み 過ぎた昔が懐かしく桜の枝に手をやれば流れる雲に面影の浮かびて消えし儚さよ 弥生の空に雲流る丘に上りて佇めば風音寂し揺れる枝夢か現か遠き日よ ゆいの詩雪の越後を後にして三国峠を越え行けば春の陽満ちて雲流る異郷の空を彷徨えば 旅路の果ては風の街女一人で生きて行く 二十四 今年の残暑はどうなるかと心配していたがそれほどの事は無かった。九月に入ると、もう昼間の暑さは苦になるほどではなくなり、朝晩は涼しさがはっきりと感じられるようになった…