早くに衰退してしまった白河車借に比して、鳥羽車借はなんと明治まで続いている。両者の違いは何であったのだろうか? 六勝寺と同じように、廃れてしまったのは鳥羽離宮も同じなのだが、鳥羽には大きな利点がひとつあった。灌漑によって埋められてしまって、今はもう見ることはできないが、中世の下鳥羽の南には巨椋池があったのである。 この巨椋池、琵琶湖から流れてくる宇治川や、桂川・木津川など3つの水系が流れ込む、池というよりは湖であった。ここで一旦貯めこまれた水は、淀川を通じて大阪湾へと流れていく。4つの川と通じているこの湖は水上交通の結節点であり、船で運ばれた荷が荷揚げされる「津」が複数存在した。 国土交通省H…