室町期の往来物に「大津坂本馬借・鳥羽白河車借」と謡われた、中世の運送業者たち。江戸期に入って坂本馬借は衰退し、大津馬借は繁栄する。白河車借は既にない。最後のひとつ、鳥羽車借はどうなったのだろうか? 鳥羽車借の全盛期は、織豊期から江戸初期にかけてのようだ。1568年には、信長の命で御所修理のための木材数万石を運搬している。1578年には秀吉による播磨侵攻を受けて、大量の米を鳥羽より大物の浦戸へと運搬しており、その補給にひと役買っている。また家康の為にも木材・石の輸送を行っている。 さて大坂の陣が終わり、ようやく平和な世が到来する。京の人口は増大し、米の消費も急増する。鳥羽車借の御用の主力は、やは…