慶長二年七月七日(西暦1597年8月19日) 蒸気船の導入により、海路での航行が格段に速くなり、東北から諫早まで1か月半もかからずに往復可能となっていた。 東北だけでなく世界各地に給炭地を整備し、蒸気機関や船体の改良を経て、諫早からリスボン間を約5か月で航行できたのである。「父上、ただいま戻りました」 奥州開発の任に赴いた純正の嫡男、平十郎純勝が途中経過の報告のために戻ってきた。 純正は結果さえ残せば、細かくは言わない。 極端な話、月に一度帰省しても文句は言わないかもしれない。「おお、よくぞ戻ったな。さっそく奥州の有り様を教えてくれ」「はっ」 純正が純勝に命じた内容は以下のとおりである。 ・寒…