白居易は、あまり忙しくない地方官吏くらいが、自分には丁度いい、ピッタリだ、と言うために、 「格好」という言葉を用いている。重要なのは、世間的には「裕福な高い身分」の方が羨まれるだろうが、自分にとっては、「東都分司の官職」の方が良いと、個人的で、主観的な価値観が語られている点である。 (平野啓一郎『「カッコいい」とは何か』講談社現代新書、2019) こんばんは。かつて三島由紀夫の『オスカア・ワイルド論』を評して、「天才が天才を論じている」と語っていた、芥川賞作家の平野啓一郎さん。そんな平野さんが、小説以外ではこの十年来もっとも書きたかった本、というのが、ちょうど一ヶ月前に発売された『「カッコいい…