広木は水戸に帰るとすぐに自宅へ向った。 姉の花に「自分は脱藩の身なので斉昭公には会うことが出来ない。姉さんが登城し井伊大老の首級を斉昭公にお見せし、事を成し遂げたことをお伝え下さい。」と言った。 花は斉昭に面会をもとめ許され、斉昭の面前にいた。事情を話し首級を見せたところ、斉昭は「これは浪士のしたこと 御首級はその方に預けおく、懇ろに御供養申し上ぐべし。」「今死んではなぬ、命存えよ」と言い、黒衣を与えた。 この言葉が松之介と花の一生を決定付けることとなる。 花は帰るなり、その言葉を伝え、拝領した衣を松之介に手渡した。 松之介は、父から「能登にゆかりのある寺がある。そこで憎となり斉昭公の言われた…