教育社会学者・教育社会史家。 ・職歴 南山大学助教授、東京大学大学院教育学研究科助教授、同教授を経て、現在、日本大学文理学部教育学科教授。 ・主な著書 『陸軍将校の教育社会史』(世織書房 サントリー学芸賞受賞) 『日本人のしつけは衰退したか』(講談社現代新書) 『教育言説の歴史社会学』(名古屋大学出版会) 『教育には何ができないか』(春秋社) 『教育(思考のフロンティア)』(岩波書店) 『《愛国心》のゆくえ―教育基本法改正という問題』(世織書房)
目先の利益とか、自分の家族のことだけに気をとられているような、いまの大人たちは情けない。学校の先生も、テストのこととか入試のことばかり口にするような先生には期待できません。 私は若い世代の皆さんに期待をしたい。どうか、「家庭・友人・学校のありふれた日常」を超えたところで〈自分探し〉をしていってください。皆さんには、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」(教育基本法)になってほしい。よりよい世界を作り出すためには、若い皆さんの力が必要なのです。(広田照幸『学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか』ちくまプリマ―新書、2022) こんにちは。昨日、土曜授業の帰りに映画を観ました。深田晃司監督の『LOVE L…
教育社会学者の広田照幸さんの新刊が出るようです。それにあわせて、ほんの「味見」程度ですが、一部がネットで公開されています(2022年5月9日付更新の「ちくまWeb」)。そもそも「教育」とは何か? 3つのポイント「意図的に」「他者」「組織化」|ちくまプリマー新書|広田 照幸|webちくま(1/2) ほとんどの人が日頃から「教育とは何か」を考えて生活してはいないでしょう。学校で教員が授業をしながら、生徒たちが授業を受けながら、そういうことを考えている……わけではないし、それは家庭の親と子でも同じだと思います。けれども、漠とした疑問をたまには考えて、ことばにするのもいいかなと思います。ここに掲載され…
1960年代には多くの都道府県で、教員の超過勤務に対して残業代の支払いを求める裁判が続出した。その結果は、原告教員側の連戦連勝。裁判所は、教員も労働基準法の考え方でとらえるべき労働者である、という判断を下していたのである。(内田良、広田照幸、髙橋哲、嶋﨑量、斉藤ひでみ『迷走する教員の働き方改革』岩波書店、2020) おはようございます。一昨日の日曜日に埼玉の伊奈町にある国登録有形文化財「大島家住宅主屋」を見学してきました。大島家住宅主屋は、江戸末期に建てられた民家(築200年)をリノベーションした古民家として知られ、喫茶店と相談室とコミュニティースペースをひっくるめて「紡ぎの家 大島」と呼ばれ…
先日の豪雨と風雨がウソのように青空が広がっています。少し動くと汗が出るような気温ですが、窓から入ってくる風はとても心地よいです。 さて、早朝に目が覚めましたので、読みかけの本を最後まで読み終わりました。 「学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか」(広田照幸 ちくまプリマー新書) 広田さんの本は、何冊か読んできましたのでこの本もタイトルに惹かれて買いました。 とても学びが多い内容の本でした。 朝食後に学びを得た部分をノートに書きだす作業をしましたが、4ページにもなりました。書き出す作業は、ページ数と参考になる部分を手書きします。 ページ数を書いておくことで、再読する時に役立ちます。 さて、今回は書き出し…
週刊読書マラソン第24号は、広田照幸『学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか』(筑摩書房、2022年)です。なぜか読んだ気がしていたのですが、読んでいませんでした。そしてなぜか2冊持っていました。 学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか (ちくまプリマー新書) 作者:広田照幸 筑摩書房 Amazon 本書の面白かったところ、新しく学んだところ 正直なところ、第1章から第3章は、一般の方にわかりやすく書いているという意味では意義があるものの、自分自身としては比較的既知の議論が多かったです。ただ、2章で「平和で民主的な国家及び社会の形成者」という教育目標が法令上存在していることを取り上げるところなどは、筆者の立場…
展覧会『松本竣介展』を鑑賞しての備忘録ときの忘れものにて、2024年10月4日~10月19日。 松本竣介(1912-1948)の3点の油彩作品《構図》(1940)・《顔(自画像)》(1940)・《Y市の橋》(1944頃)にデッサンを加えた展観。 《構図》(1940年9月)の赤褐色と白とが混在する画面の下側には複線の鐵路を表すような2つの線が中央でやや離れながら左右に延び、画面上端付近に電線らしき1本の線が画面を横断する。その2つの線の間に建物や線路などの構造物、煙突や配管などの設備類、トロッコ(自動車?)や車輪(自転車?)などの運搬装置、さらには5人の人物などが配されている。人物は頭部の円と胴…
9月29日(日)には多様な教育機会を考える会(rethinking education研究会、以下RED研)からでるシリーズ『公教育の再編と子どもの福祉』全2巻の合評会が開催されます。対面参加の申し込み受け付けは終了しましたが、オンライン参加の申し込みは前日28日(土)まで可能です。 合評会申し込みフォームはこちら。 9月29日10時~書評会申し込み_多様な教育機会を考える会出版刊行記念@日本大学文理学部合評会チラシはこちら。「合評」「書評」と謳っていますが、前半は編者と1巻第Ⅱ部・第Ⅲ部執筆者の方からの振り返りなどをメインに進め、後半で末冨芳さんから2巻本全体への(かな?)コメントをいただく…
2024年11月30日時点での既刊のちくま学芸文庫全2,077点(セット版を除く)をあげた。文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。「♾️」マークはMath&Scienceシリーズ(青背)を示す。人名表記の揺れ(例「シモーヌ・ヴェイユ」と「シモーヌ・ヴェーユ」)は訳者に従い、統一はせずそのままにした。編者、訳者は一部を除き割愛し、編著者が3人以上に及ぶ場合は代表者1人の名前のみ記した。 Math&Scienceシリーズのみの刊行書目一覧はこちら→ちくま学芸文庫M&S刊行書目一覧 最新版 - karumerabunkoのブログ 浅田彰『ヘルメスの音楽』 赤坂憲雄『異人論序説』 赤坂憲雄…
『【特集】教職員組合運動史研究会(TU研)10年のあゆみ』(戦後日本の教職員組合と社会と文化 ; その6)布村育子編集 日本大学文理学部広田研究室 2024年5月154頁 30cm 教職員組合運動史研究会(TU研)は、「労働運動を軸とした日教組像」研究の集大成として『歴史としての日教組上・下巻』(名古屋大学出版会/2020年)を刊行しているが、本書は、2012年発足から10年余のTU研活動のあゆみを丁寧に跡づけている。 <構成と主な目次> Ⅱ部構成の第Ⅰ部(特集)は、研究会メンバーの「座談会」を通して、10年の歩みの振り返りと、それに付随する資料編、22名のエッセイによるTU研への自らの関わり…
わたしには読む価値を感じられない本でした。 教員免許もとりました。先生になったことはありません。教職課程の間に、教育とは何かと人並み以上に考えたかもしれません。 当時のわたしの結論は「クソ」である。という結論でした。歯車育成。平均値をあげるために、平均より出来ないものを切り捨てて、平均よりできてしまうものを平均へ矯正する場所。 重要かつ有意義とも思いますが、集団生活になれさせる場。溶け込めないものに待つものは「死」です。誇張ではなく。生物的な死の場合もあるし、社会的な死の場合もありえます。 四則演算。読み書きまでは教育の意義を感じられたけれども、それ以上特に高校教育には意味を見出せませんでした…
れいわによって、東京都の知事の選挙をみて行く。 野党であるれいわ新選組によって、東京都の知事の選挙を見てみると、どういったことが見えてくるだろうか。 もち出される筋あいがないのが、れいわ新選組だ。なんでもち出される筋あいがないのかといえば、こんかいの東京都の知事の選挙にれいわは参与しなかったからである。党としては静観していた。 参与していなかったのだから、もち出される筋あいはないかもしれないけど、そこを逆に、もち出してみたい。 れいわは、選挙に勝てなかった。れいわと反対であるような反れいわが選挙に勝った。そうしたとらえ方がなりたつ。 少なくとも二位くらいにはなるだろうとされていた元政治家の蓮舫…
広田照幸『日本人のしつけは衰退したか』を再読。 日本人のしつけは衰退したか 「教育する家族」のゆくえ (講談社現代新書) 作者:広田照幸 発売日: 2015/02/27 メディア: Kindle版 内容は紹介文の通り、 礼儀正しく、子どもらしく、勉強好き。パーフェクト・チャイルド願望は何をもたらしたか。しつけの変遷から子育てを問い直す。 というもの。 日本人の「しつけ」は衰退したのではなくて、むしろ強まっていったのが、本書を読むととよくわかる。 古典的名著であろう。 以下、特に面白かったところだけ。 教育を考える暇もなかった 伝統的な村の暮らしは、一部の上層を除いて、よくいえば質素、悪くいえば…
生きてます。 先月の。 2024年4月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬
文部科学省が公立学校教員の給与体系を「『定額働かせ放題』とも言われる枠組み」と報じたNHKに対し、「一面的な報道」と抗議する文書を出し、ウェブサイトに掲載した。ただ、NHKの報道に限らず、残業代のない教員の長時間労働の実態は「定額働かせ放題」と言い表されてきた。文科省の振る舞いは、深刻な問題を矮小(わいしょう)化させる圧力ではないか。(西田直晃、宮畑譲) 文科省がNHKに提出した抗議文。「一部の方々」「一面的」といった言葉が書かれている ◆NHKは反論「仕組みや背景を丁寧に伝えている」 「中央教育審議会における議論の内容に触れることのない一面的なもの」 文科省が17日、矢野和彦・初等中等教育局…
日本の教育はダメじゃない ――国際比較データで問いなおす (ちくま新書)作者:小松 光,ジェルミー・ラプリー筑摩書房Amazon かなりよい本だった。 自分がいかに教育について先入観をもっていたか知ることができてよかったし、著者らのデータへの向き合い方からは、国際的なデータを比較することや、データでわかること・わからないことを分けて考えることなど学びも多かった。 TIMSS(ティムズ)という「学校で習った内容をきちんと覚えていて使えるか」を測るテストや、PISA(ピザ)という「学校で習った基礎的な内容を、新しい目的に対して創造的に使えるか」を測るテストなど国際的なデータでは日本の教育のレベルは…
本書は科研費プロジェクトの成果として公刊されている報告書シリーズの5冊目にあたります。まず目次を見てみましょう。 第1章 日本教職員組合の大会・中央委員会における議事運営の仕組みの考察 ―1949~70年代について 広田照幸第2章 豊中市の教職員の意見表明権獲得のプロセスに関する研究 ―学閥弱体化/管理職権威形骸化/職場の民主化/障害児教育等の推進 二見妙子第3章 国連障害者権利条約と全国強権第14分科会 ―日本政府批准前後の『日本の教育』の分析を中心に― 澤田誠二第4章 教員の授業準備の時間の現状と過去との比較 ―真の教育改革のために必要なこと― 廣田英樹第5章(史料紹介) 日教組結成以前の…
2024年はバンド生活35周年です(人間椅子 1月1日) \ ニャー / ノラネコぐんだんおみくじで2024年の運試し(ノラネコぐんだん 1月1日) Rick Astley Rocks New Year’s Eve(BBC 1月1日) Never Gonna Give You Up / Rick Astley You Spin Me Round(Like A Record)/ Rylan Clark, Rick Astley Ain’t No Mountain High Enough / Sharleen Spiteri, Rick Astley Jools' Annual Hootenann…
前屋毅フリージャーナリスト 3/11(月) 7:05 教育研究者たちも、「声明」を発表する「とんでもない」ことだった 撮影:筆者 奈良教育大学が同大学附属小(以下、附属小)で行われてきた教育を「教科書どおりではなく不適切」という報告書を公表したことが波紋を広げるなか、3月4日付けて教育研究者有志が「教育課程の創造的実践を通じたゆたかな教育の実現を求めます」という声明を発表した。 |「攻撃」である そこには「呼びかけ人」として17名の教育研究者が名前を連ねているが、その後、声明に賛同する教育研究者の数は急速に増え、3月10日時点で呼びかけ人と賛同者の合計で368名にも達している。それほど、多くの…