本気で理解(わか)っていないのか、全部知ってて素っ惚(とぼ)けてやがるのか。 ちょっと判断に困る事例だ。 ホテル、マンション、アパートが「404」号室を忌み、欠番扱いとするように。 一九二〇年代、フランスの一部列車には「69」を座席番号に使用(つか)わぬという不文律が存在していた。 例の石川光春が確認したことである。「フランスの汽車の座席に打ってある番号に69が抜いてある、詰り68から飛んで70になって居る」のだと。それでいささか不審に思い、現地の伝手をたどっては色々訊ねてみたところ、「仏人は一般に69の文字を避ける習慣である事がわかった。何か御幣を担ぐのかと思ったら其んな神秘的な事では無く、…