木彫十二支『おぐら屋』 1300年の歴史がある因幡地方最古の温泉・岩井温泉の一角に「おぐら屋」はあります。約200年前に木地師(きじし)の小椋佐兵衛さんが挽物(ひきもの)を製作したのが始まりですが、その流れをくむ小椋家八代目により、従来の挽物に独創的なデザインと技術を加えて木彫人形十二支が作られました。全体を挽物細工で作り、貝を砕いた胡粉を下地に塗って泥絵の具で着色します。作業はすべて手仕事で同じものは二つとしてありません。私が幼い頃から母が飾ってくれていたおぐら屋の木彫人形。小説家・尾崎翠さんの故郷である岩井温泉を訪れた時、旅館近くにこのおぐら屋さんがあることを知り、工房にお邪魔した時のこと…