荒涼たる、ということばが冠せらるる場所として私のなかでイメージがわくのは、例えばこのアラン島である。 といっても行ったこともなければその風土を良く知っているわけでもない。 土地がやせ切っており、石を砕いて土とする、というイメージがなぜか私の中である。その厳しい自然がモルトウイスキーを生んだ、という漠然としたイメージもある。だがそこが本当にそうであるのかさえ、ぼんやりとしている。 シングという作家がアラン島に滞在して本を書いている。図書館に予約をした。80年以上前のドキュメンタリータッチの映画もあるようだ。片山廣子のエッセイ「燈火節」をパカリと広げて読んだ箇所から、彼女がそのドキュメンタリー映画…