元禄14年6月1日。昨夜、五十人新野林助家来が御器所村新田で女を刺し殺し、自殺する。すぐに死ぬことはなく、2,3日してから死ぬ。林助は家に籠女(妊婦、ここでは妾か)をを置くことができず、米屋の女房ということにして預けていた。夜ごと家へ迎える時はこの僕をいつも迎えに行かせていた。そうこうするうちに僕とこの女が仲良くなってしまい、これは怪しいと米屋が詰問すると云々。先月晦日に女は熱田を詣でた。それで僕に提灯を持たせて熱田へ迎えに行かせた。田んぼを抜け、すぐに連れてくるはずであったがここで女を殺すと。切り傷がたくさんあった。女は優しい顔つきで、歳は21。懐には真桑瓜などを入れていたと。