■『物理世界のなかの心』(ジェグオン・キム (Jaegwon Kim)、太田雅子訳、勁草書房、2007)を読む。 世評高い本だが、物(脳神経系)への心のスーパーヴィーニエンスを擁護する本だと思ったら、いかにスーパーヴィーニエンスが駄目かを論証する本だった。のっけから(第一章から)、こうある。 「だから、スーパーヴィーニエンスは形而上学的に「深い」関係ではないのだ。それはただ性質共変化のパターンについての「現象学的」関係に過ぎず、ことによるとそのパターンはもっと深い依存関係の現れであるかもしれない。もしこれが正しいなら、心身スーパーヴィーニエンスは心身問題を提起するものであり、心身問題を解決する…