■ホメロス『イーリアス』と『オデュッセイア』の間の深淵 デカルトが二元論の開祖だみたいな言説をみるたびに嗤いたくなる。 二元論は人類に普遍的な思考傾向としてどこにでもある。 私たちも日常は二元論的に生きている。 西洋精神史のなかで二元論の哲学的な定式化は、通常プラトンに始まると言われているが、シュミッツはさらにその淵源を、ホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』の間に置く。 『身体と感情の現象学』の第七章「ヨーロッパの哲学における身体と魂」から、幾つか興味ある個所を引用しよう。----------------------- ‥‥人間をつねに身体と魂によって組織された一なる複合体であると考え…