さて、(ん? なにが、「さて」だ?)、各種SNSでやっぱり吉田修一はいいなと言ったあとなので、ここらで一応まとまった文章を書いてみようということである。 吉田修一、確かに『悪人』だとか、『さよなら渓谷』だとか、『怒り』だとか、ミステリー寄りな作品が大ヒットした感があって、すっかり昔のことを忘れていた気がする。Wkipediaによると、この『愛に乱暴』という作品は、2013年5月に新潮社より刊行され、2017年12月に文庫本化されている。買ったのはきっとその頃だったのだろう。ただ、上下に分かれたこの文庫本は、僕の部屋で表紙のページを開かれることもなく1年を過ごしていたことになる。正直に言うと、そ…