280.国宝/吉田修一 「ええか?どんなに悔しい思いしても芸で勝負や。ほんまもんの芸は刀や鉄砲より強いねん。おまえはおまえの芸で、いつか仇とったるんや。ええか?約束できるか?」(『国宝』上 青春編 p.309) 国宝上青春篇 (朝日文庫) 作者:吉田 修一 朝日新聞出版 Amazon 幼き頃から歌舞伎に取り憑かれてしまった少年が、過酷な運命に翻弄されながらも、板の上で芸事を極めんともがき続ける50年の月日を描いた、吉田修一の長編小説。 長崎で任侠の家に生まれながらも、その美貌と生来の女形の素質を見初められ、上方歌舞伎の名跡である花井半二郎の元へと引き取られた少年・喜久雄。彼は大阪の地で、歌舞伎…