部屋がカオスを極めている。 高校時代の松坂大輔投手が表紙を飾った『週刊ベースボール』の隣に、メルロ=ポンティの『ヒューマニズムとテロル』が置かれ、林立する本の上には日用品──エコバッグだとか、ポケットティッシュだとかが散らばっている。 片付けをしないといけない。 でも、整理の基準を見失っている。 捨てていいものと、これからも取っておきたいものを選別できない。 わたしは少々、興味の枝葉が多すぎるようだ。 語学では英語、ドイツ語、フランス語。 読書ではラノベ、純文学、詩歌。 おまけに読めもしないのにデデキントを所有している。 この部屋からは「何者かになりたいけれども、何者にもなれていない家主」の哀…