野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(2) 今回は、第Ⅰ編 接続の論理 第2章 接続の構造 である。 指示関係 「こそあど言葉」というものがある。「現代語の、代名詞・形容動詞・副詞・連体詞の中で、指し示す働きをもつ語をまとめた呼び方」(デジタル大辞泉)である。「指示語」という。 そもそも、なぜ我々は指示表現を用いるのだろうか。もちろん、一つには表現の反復を避けるためである。だが、単にそれだけではない。むしろ、指示表現の極めて重要なポイントは議論を接続することにある。他の箇所の表現を指示することにより、それと同じ事柄がここで論じられていることを示す。そうして二つの主張をつなげるのである。 ある場合…