改宗のきっかけ 千恵の病気を機に、僕はカトリックに改宗した。それまで自分の宗教について深く考えたことはなく、宗教とは、ほとんど縁のない暮らしだった。 乳がんが発覚したときの千恵の年齢は25歳。結婚前だった。 彼女は長崎県大村市出身。家族全員がカトリック信者であった。手術の直前、僕たちはカトリック小倉教会(北九州市小倉北区)に行った。千恵は十字架の前で両膝をつくと、長い時間、祈った。 祈りを終え、立ち上がった千恵に、僕は「今、どんな気分?」と尋ねた。 彼女は「とても落ち着いたよ。付き合ってくれてありがとう」と答えてくれた。 今思えば、その日の出来事が、僕が改宗を決めたきっかけだったような気がする…