余りに可憐なものを目の前にするとどんな思いがするのだろう。落ちたものなら良いだろう。僕はそれを無意識に拾っていた。そして手帳の間に挟んだ。 さらに等高線を稼いだ。ブナの新緑は見事だ。空気が緑色だ。そしてそれは自分を透過していく。血液は喜び自分は生まれ変わる。そんな林に花を纏う樹が共に茂るとそこにコントラストが生まれる。それぞれの色彩が競い合う。まるで色の舞踏会のようだ。曇天の中を歩くのはは本来好きではないがこの季節の雨上がりの翌日などは夢幻を進んでいくようにも思える。霧の粒子なのか雲の粒子なのかもわからない。粒子にはムラがあり薄くなり濃くなる。絶えず動いている。それが肌に触れる。気持ち良いがい…