ホテルは何と言っても外国からの観光客や商人等で賑っている。物資も相当備えてあるし、それ程不自由ではない。食堂へ行けば美食もできるしワインもウィスキーもある。 只電燈の数が減っているのと砂糖の無い事位であろう。それに目立たないものに革製品と金物類が少ない事である。それと反対に街で目に付く物は外国の駐屯兵の横暴と外国を追われて流れ込んだ慰安婦の横行だ。昼と言わず夜と言わず至る所で観光客の袖を引いている。ウンターデンリンデンの大通りや裏町の小ホテルは彼女達の巣窟だ。 ウンターデンリンデンはベルリンの代表的な大通りで菩提樹の並木があるので、この名がある。街の様子や人の感じが何となく日本に通ずる所があり…