『文車日記−私の古典散歩−』/田辺聖子/新潮文庫/昭和53年刊 たまには最近買った本の話を。と思ったわけではないけれど、小池昌代さんの訳による『百人一首』(河出文庫)がおもしろい。正月に甥っ子や両親とこたつを囲んでカルタ遊びをした後、本屋で見かけて何気なく買って以来、枕元に置いて寝る前にパラパラと楽しんでいる。 小倉百人一首を解説した本は昔からいくつもあって、少年少女向けのマンガもあり、検索機能の充実したウェブサイトもある。小池昌代さんの本では、何といっても現代の詩人による訳詩がステキだ。たとえば私が好きな一首〈わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり〉、これが以下のように訳されて…