『料理歳時記』/辰巳浜子/中公文庫/1977年刊 「おばあちゃんの料理で何が好き?」と近所の人に聞かれた甥っ子が「ラーメン」と答えたらしい。麺は市販品だが具やスープを工夫しているようで、特にチャーシューを漬けるタレはここ数年継ぎ足しながら育てているとか。「特製チャーシューメン」と言ってほしかった、と母は笑いまじりに話していた。 定年近くまで仕事をしていたから、私たちが子供の頃はラーメン用にチャーシューを仕込むような凝り方はしていなかった。今は時間に余裕があって、孫の食事に好きなだけ手間をかけられることが嬉しいらしい。体質的に小麦粉を控えなければならない甥っ子にとって、ラーメンはたまにしか食べら…