吾輩は、あの時以来、お世話になっている主人を「餌くれおじさん」や「用なしおじさん」とは、決して思わないように決めた。 あの時とは、奥さんと主人がグルになって吾輩を説教した時のことだ。 (第95話 蜘蛛の糸 Part2をご覧ください。) そして、そう考えを改めた吾輩を見せつける機会がやってきた。 吾輩は、ある晴れた日の午後、水槽の岩の上で、うとうととうたた寝をしていた。 すると、突然、水槽の上に、主人が「ニョキッ」と顔を出したのである。 その時、吾輩は、主人を横目でチラ見し、説教された内容を思い出して、主人の方をまっすぐ向くように首をねじったのだ。 すると、主人は、その場から姿を消した。「いった…