-----講義録始め----- この節では、我が国の博物館経営論の進展の経緯を概観するとともに、現時点での課題を考察します。 冒頭において、日本において博物館の経営の重要性がとりわけ叫ばれるようになったのは1990年代と説明しました。この年代には、次のようなことがありました。1つは、1995年に日本ミュージアムマネジメント学会が設立されたことです。 同学会の創刊号で、当時学会長だった大堀哲氏は、創刊の言葉において、この学会における研究領域と設立目的を以下のように記しています。研究領域としては、法律、経営、心理学、教育学、情報学、マーケティング、マスコミュニケーション論など、多岐にわたる内容を組…