楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』中央公論新社を読了。 昭和13年。講演のために台湾に招かれた作家の青山千鶴子は、通訳につけられた王千鶴とともに、台湾の各地を旅行し、その土地その土地ならではのさまざまな料理を食べて食べて食べまくる。青山千鶴子は食べることが好きで好きでどうしようもない大食漢だったのだ。その青山千鶴子の欲望を満たすべく、同行の王千鶴は通訳としての職分を大きく超えて、さまざまな手配をこなしていく。やがてふたりは作家と通訳という関係を超えて友情を育んでいくかに思われたのだが……。 読み終えたとき、長い長い旅を終えたような、なんともいえない感慨を覚えてしまった。 実に実にさまざまな要素を含…