野内良三は高知大学や関西外国語大学で教授を勤め、フランス文学やレトリックが専門。本書は「実用文」の書き方を教えてくれる1冊である。実用文とは「文系、理系を問わず、実務、職場、学校、学術など多様な場面に対応できる汎用性の高い文章」である。要するに、他人が読んで意味のわかる文章の書き方を教えてくれるのである。 本書はかなり歯応えのある本で、一読しただけでは凡才の私には到底理解し得ないものであった。「日本語ネイティブだけどこんな風に日本語を捉えたことがない」「こんなに奥深い言語だったのか」「今まで自分が書いてきた文章は一体何だったのか」とレベルの高さに打ちのめされている。ここでもまた帰納法や演繹法な…